工場見学 >マルシマの「杉桶仕込み」のしょうゆが出来るまで
「マルシマの「杉桶仕込み」のしょうゆが出来るまで」をご覧の皆様、このページに来てくれてありがとうございます。さて、マルシマの「杉桶仕込み」のしょうゆがどんな感じで出来ているのか早速見てみましょう!
マルシマの考え
~「マルシマの「杉桶仕込み」のしょうゆが出来るまで」
弊社製品は東洋思想における食養原理「身土不二※1」「一物全体食※2」「陰陽の調和※3」に基づき、安全性、及び環境保全などの観点より原材料を吟味し、できる限り添加物を使用しないで多くの手間と時間をかけて製造しております。原材料として使用する大豆、小麦は大きく分けて国内産有機、外国産有機、国内産、外国産の4種類の原料になります。一般的な醤油製造に用いられる脱脂加工大豆等の加工大豆や不自然な農作物である遺伝子組換え大豆は使用せず、生命(いのち)のある丸大豆を原料に醤油を製造しています。
写真左:丸大豆/中:小麦/右:食塩
※1 身土不二
自分が育った環境と同じ環境で育った食物を頂くことが身体に良い。という考え。
(国内産の旬の物、太陽の恵みをいっぱい受けて育った露地物、海産物においては天然物をいただき、できる限り国内産原料を使用する。)※2 一物全体食
食物はその全体(命のある状態)でバランスがとれており、その一部だけを食すれば身体のバランスもくずれる。という考え。食物はできる限り丸ごと使用する。
(脱脂加工大豆より、命のある丸大豆。精製された白砂糖より、ミネラルを含んだ黒砂糖や粗糖。)※3 陰陽の調和
すべての物事は陰と陽に分けられ、そのバランスを取る事が大切である。という考え。
体質に合わせた食物の陰陽のバランスが大事。
(寒い時や陰性体質(冷え性)の方は陽性の物をとると中庸に傾き、身体が温まってよい。)
「原料の前処理」大豆を蒸し、小麦を煎る。
~「マルシマの「杉桶仕込み」のしょうゆが出来るまで」
醤油の原料である大豆と小麦は、ほぼ同量で配合します。
大豆は一昼夜水に浸して、十分に水を含ませ、圧力釜を使って蒸し煮の後、ミンチします。
小麦は焙煎機で焙煎した後、挽き割ります。
大豆、小麦共に加熱処理を行う事により、原料中のタンパク質やデンプンを、麹菌が造り出す酵素によってアミノ酸や糖へ分解されやすいかたちに変化させます。
写真:製麹ライン
右コンベアー:蒸し大豆/左コンベアー:焙煎小麦
左右のコンベアーの原料を中央のコンベアーで混ぜ合わせ、さらに種麹を混ぜ合わせて製麹機へ送られます。
「製麹」蒸し大豆+焙煎小麦+種麹=麹
~「マルシマの「杉桶仕込み」のしょうゆが出来るまで」
加熱処理した原料に種麹と呼ばれる麹菌を混合し、製麹室の中で温度と湿度を保ちながら麹菌を約3日3晩、生育させます。麹菌が原料の隅々まで生育すれば醤油麹が出来上がりますが、最後は杜氏が麹の出来を見極めます。
この工程が醤油造りで一番大事な工程となり、この麹の出来が悪ければ後でどんなにがんばってもおいしい醤油にはなりません。
写真:製麹ライン
「仕込み」麹 + 食塩水
~「マルシマの「杉桶仕込み」のしょうゆが出来るまで」
天日塩を水に溶かし、食塩水を造ります。
この食塩水は高濃度食塩水と呼ばれ、腐敗菌の発生を防ぎ、百数十種とも言われる有用菌類にとって住みやすい環境をつくります。
醤油麹を食塩水と共に混ぜ合わせて木桶に仕込みます。この醤油麹と食塩水を杉桶に仕込んだ状態を「もろみ」と言います。食塩水を入れると、麹菌にかわって乳酸菌や酵素が働き始めます。麹菌の作り出した酵素の働きで大豆のタンパク質からアミノ酸が作られ、小麦のデンプンからブドウ糖などが作られます。
写真:塩水槽
「発酵・熟成」
~「マルシマの「杉桶仕込み」のしょうゆが出来るまで」
[発酵] ~仕込から数ヶ月後・乳酸菌と酵素の働き~
仕込段階で生まれたアミノ酸とブドウ糖は仕込から1~2ヶ月で乳酸菌と酵素の働きにより分解されます。ここで生まれたアミノ酸とブドウ糖が結びつく事で味が決まり、しょうゆ独特の赤い色になります。
乳酸菌はブドウ糖の一部を様々な酸に変え、おいしさをつくります。酵素はブドウ糖の一部をアルコールへと変化させ、香りを生み出し旨みを引き立てます。
[熟成] ~仕込んでから数ヶ月・人間に出来る事~
交代で活発に活動していた微生物や酵素は、熟成段階に入ると徐々にその働きを弱め、時間の経過と共に全体の調和の取れたもろみになります。仕込み段階で共に仕込んだ食塩水も様々な酵素やアミノ酸などの旨み成分の働きによって、ただ塩辛いだけではなく、旨みとまろやかさを併せ持った塩辛さになります。しかし、ここまで来るにはただ仕込んで置いておけばいいと言うものではありません。時折、もろみを撹拌して、もろみ全体に酸素を供給したり、蔵の窓の開け閉めといった温度調節など、人の手が必要です。こういった手助けをする事で微生物は元気に活躍し、おいしいしょうゆを造ってくれます。いずれの工程も、人間のお手伝いが無ければ上手くはいかないのです。写真左:三十石杉桶/中:三十石杉桶/右:仕込み2年目
写真:徐々に変化していくもろみ
「圧搾」・「澄まし」醤油もろみを搾る。
~「マルシマの「杉桶仕込み」のしょうゆが出来るまで」
熟成した醤油もろみをろ布で包み込んで搾ります。この工程を「圧搾」といいます。
この圧搾工程ではもろみの自重で時間をかけて液体を取り出し、最後には機械で圧力をかけて搾ります。こうして液体と固体に分離させ、できた醤油は「生揚げ(きあげ)」と呼ばれる生の醤油です。
残った固体は「醤油粕(かす)」として、主に飼料などに利用されます。
写真左:圧搾機/中:圧搾機/右:醤油粕
その後に醤油を落ち着かせて、その中に含まれている固形分を沈殿分離させ、取り除く作業を「澄まし」と言います。
また、搾ったままの醤油の液体中には「醤油油(しょうゆあぶら)」と呼ばれる未分解の大豆由来油脂が含まれているので、これも取り除きます。
この醤油油は丸大豆を使って仕込んだ醤油にのみ発生するもので、脱脂加工大豆を使って製造された醤油には発生しないものです。
製造過程で醤油油が発生する醤油の味は、まろやかで昔ながらの製法にこだわって造られた醤油の証しといえます。
「火入れ」醤油を加熱する。
~「マルシマの「杉桶仕込み」のしょうゆが出来るまで」
醤油の品質の安定性を高めるために、生揚げを加熱します。この工程を「火入れ」と言います。
火入れは醤油に含まれる微生物や酵素の働きを止めるために行われ、火入れによって醤油は特有の香りを放つようになります。これを「火香(ひが)」と呼び、醤油本来の香りと引き締まった味になります。
また、火入れを行なわない醤油は生(なま)醤油となります。
写真左:火入れ機/右:生揚げタンク
「澄まし・ろ過」火入れした醤油を澄ます。
~「マルシマの「杉桶仕込み」のしょうゆが出来るまで」
火入れした醤油は熱変性を起こしたタンパク質や微生物が固体となり、再び濁りとなって現われます。
これを落ち着かせて沈殿分離し、固体と液体に分けたのち、ろ過を行います。
ろ過工程では珪藻土ろ過装置を用い、沈殿ろ過では完全に取り除ききれなかった油脂や、微生物を取り除きます。
写真左:ろ過機/右:澄ましタンク
「検査」
~「マルシマの「杉桶仕込み」のしょうゆが出来るまで」
ろ過したしょうゆを検査します。検査方法は日本農林規格(JAS規格)により定められており、「製造方式」「性状」「色度」「全窒素分」「無塩可溶性固形分(エキス分)」「原材料」によって「標準」「上級」「特級」と分かれます。
丸島醤油ではJASの特級規格をクリアしたものだけを製品とします。また、有機JAS規格の検査による格付も行い、クリアしたものは有機JASマークを付加します。
写真:研究室